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東京都内のフリースクールは200校超にのぼります。東京都の調査によれば、生徒が1人以上通っている民間フリースクールは少なくとも224校存在します
。全国的に見ても2015年度時点で約500施設との報告があり
、不登校児童生徒数の増加に伴いこの数は近年さらに増えていると考えられます。特に東京都は不登校児童生徒数が全国最多規模であり(後述)需要が集中しているため、フリースクールの新規開設・参入も活発です。
経済的規模について、フリースクール利用には相応の費用がかかります。民間フリースクールの平均的な月額利用料は約3.3万円(入会金平均約5.3万円)とされ
、例えば中学校3年間通うと総額で約125万円に達する試算です
。実際にはスクールごとに料金設定は様々で、月数千円~数万円のところもあれば、シュタイナー校やサドベリースクールなど年間80万円以上の学費を課すオルタナティブスクールもあります
。平均的な3~5万円/月という費用水準から換算すると、東京都内におけるフリースクール利用料の市場規模は年間で数億円規模(数百人~数千人規模の利用者×数十万円)と推計されます。フリースクールの運営者にとって、利用料収入は活動継続の生命線ですが、不登校の子どもたちはいつ来れなくなるか分からないため経営は不安定になりがちです
。そのため夜間に学習塾を併設したり、別事業と兼営するなどして運営を維持している例も少なくありません
。
東京都内には多種多様なフリースクールが存在します。歴史の長いNPO運営校から、新興のオンライン特化型まで、運営母体や教育方針も様々です。代表的なフリースクールやグループの例を以下にまとめます。
| 名称・運営主体 | 特徴(教育方針や規模) |
|---|---|
| 東京シューレ(NPO法人) | 1985年創立のフリースクール草分け的存在。東京都内(王子・新宿・大田)に3拠点を持ち、異年齢の子どもたちが自主性を尊重されながら学ぶ場を提供しています 。月会費は約5.28万円と高めですが 、その分多彩なプログラムや企業・団体と連携した体験機会も豊富です 。同法人は不登校特例校として東京シューレ葛飾中学校(2007年指定)や東京シューレ江戸川小学校(2020年指定)も設置しており 、公教育との橋渡しにも取り組んでいます。 |
| 東京大志学園(公益財団法人こども教育支援財団) | 不登校の小中学生支援を目的に20年以上前から運営されているフリースクール。全国で12校を展開し、東京都内にも教室があります 。少人数での学習支援やコミュニケーション指導を通じて「学校復帰」や進学を目指すスタイルで、行政とも連携しやすい公益法人運営の強みがあります。 |
| N中等部(学校法人角川ドワンゴ学園) | IT企業ドワンゴと学校法人が提携して開設したオンライン主体の中学生向けフリースクールです。新宿・秋葉原・池袋・町田にキャンパスを持ち、オンラインと登校を組み合わせた柔軟な学びが可能です 。知識詰め込みではなく探究型の総合力育成を重視したカリキュラムを掲げており 、ICTを活用した先進的な教育モデルとして注目されています。 |
| 東京未来大学フリースクール(学校法人三幸学園) | 専門学校や通信制高校・大学を運営する三幸学園グループによる小中学生向けフリースクールです。足立区に教室(綾瀬クラス、六町クラス)を構え、児童生徒が**「好きなことを学ぶ」**自主性尊重の環境を整えています 。大手教育グループの運営だけあって、スタンダード・3DAY・1DAYコースなどコースも細分化されており、将来的な高等部や大学への接続も視野に入れた支援が特徴です 。 |
| せいさフリースクール はちおうじ(学校法人国際学園〈星槎グループ〉) | 星槎グループ(全国で広く通信制高校等を展開)の一環として八王子市に開設されたフリースクールです。小4~中3を対象に、高校生の先輩が1人ひとりサポーターとして付き添う「ピアサポート」体制をとっているのが特色です 。さまざまな体験活動を通じて安心できる居場所を提供すると共に、小中学校への復帰や高校進学の準備にも力を入れています 。 |
| 東京賢治シュタイナー学校(学校法人) | 東京でシュタイナー教育を実践するオルタナティブスクール。小中高一貫の全日制学校として運営され、ドイツ発祥のシュタイナー教育理念に基づき、芸術や自然体験を重視した独自カリキュラムを提供しています 。国内外のシュタイナー校ネットワークに加盟しており、公教育の枠外で独自の学びを追求する代表例です。 |
| 東京サドベリースクール(NPO法人) | アメリカ発のデモクラティックスクール(サドベリー・バレー校モデル)を踏襲するフリースクール。生徒自身が学校運営やルール策定にも参加し、**「自分で自分を育てる」**自主性を徹底的に尊重する学びの場です 。5歳~18歳を対象とし、年間学費約84万円 と高額ですが、その分スタッフではなく子ども主体で運営されるユニークな教育コミュニティを維持しています。 |
| RE:VISION eスポーツ&個別授業フリースクール(株式会社) | eスポーツやゲームを切り口にした新興フリースクール。ゲーム好きの子どもの興味関心を学びに結びつけ、集団参加のきっかけにするプログラムを提供しています。「好きなことを通じてまず楽しむ」中で自己肯定感を育み、必要に応じて個別指導で学習サポートも行う柔軟なスタイルです 。オンライン上で講師と繋がるプログラムも用意されており、IT時代ならではのアプローチで不登校支援に取り組んでいます 。 |
以上のように、東京都内のフリースクールには伝統的な不登校支援型から、企業・大学等が参入した学習特化型、オルタナティブ教育の理念を体現する学校型、最新テクノロジーを活用したオンライン型まで、多彩な「学びの場」が存在しています。それぞれ対象や目的も異なるため、保護者は子どもの状態や将来像に合わせて適切なスクールを選択する必要があります。
不登校児童生徒の増加傾向: 近年、全国的に不登校児童生徒数は急増しています。文部科学省の調査によれば、全国の小中学校における不登校児童生徒数は2022年度に29万9048人と過去最多を更新し、9年連続で増加しました
。東京都でも例外ではなく、2017年度に1万7,650人だった不登校児童生徒数が2019年度に2万1,799人、2022年度には3万4,711人とこの5年間で約2倍に急増しています
。特にコロナ禍による一斉休校やオンライン授業の影響で、学校に馴染めず不登校状態に陥る子どもが増えたことが背景にあると指摘されています。実際、新型コロナ以降は**「不登校予備軍」だった子どもが登校しなくなるケースが増え、2020~2021年にフリースクール利用者が減るどころかむしろ増加したとの報告もあります。東京都教育委員会の調査では、フリースクール等に通う不登校生の調査協力者数が令和4年度108施設・526人から、令和5年度180施設・1,325人へと大幅増加**しており
、不登校児童生徒数の増加に比例してフリースクール利用者も増えていることが伺えます。
フリースクール利用者数の規模: もっとも、不登校児童生徒のうちフリースクールに通っている子どもは全体の一部に過ぎません。東京都では先述のように不登校児童生徒が3万人を超えますが、都が2024年度に想定したフリースクール助成金の対象者は約1,500人程度でした
。東京都子供政策連携室の担当者は「不登校だからといって全員がフリースクールに通っているわけではなく、実際に通っている子どもは多くない」という趣旨で、この1,500人前後という見積もりが適切だと説明しています
。実際、半数以上の不登校児童生徒は家庭に留まり自宅学習や休養に充てているとみられ、フリースクールは利用したくても経済的事情や地域環境により利用できないケースもあります。東京都は2021~2023年度にかけてフリースクール利用者約1,400人/年に月2万円の「調査協力金」を試行的に支給して実態を把握してきました
が、そのデータから見ても不登校児童生徒の5%前後がフリースクール等を活用しているに留まります。ただしこの割合は年々上昇傾向にあり、2024年度に助成金制度が本格実施されたことで潜在的な利用希望者(経済的理由で諦めていた層)が新たに利用を開始し、実支援件数は当初見込み(1,500件)を上回る勢いを見せています
。今後も公的支援拡充によってフリースクール利用者数は増加し、不登校児童生徒に占める割合も高まっていくと予想されます。
利用者の属性傾向: フリースクール利用者は中学生年代が中心ですが、小学生の利用も増えています。また利用家庭の所得層はやや高めという調査結果があります。東京都の調査では、フリースクール利用家庭の平均世帯年収は897.5万円で、全国平均(545.7万円)よりかなり高い傾向が見られました
。これは高額な利用料を支払える家庭に利用が偏っていることを示唆しており、公的支援の重要性を裏付けるデータといえます。一方で昨今は経済的余裕に関わらず**「積極的不登校」(学校以外の学びを主体的に選ぶ)**とも言える動きをする家庭も注目されています。伝統的には不登校は否定的に捉えられてきましたが、近年は子どもの個性や健全な成長のためにあえてフリースクールやホームスクーリングを選択する保護者もおり、「多様な学び」を前向きに捉える価値観が浸透しつつあります。こうした意識変化も、フリースクール利用者層の広がりに影響するトレンドと言えるでしょう。
教育機会確保法の成立: 2017年に施行された「教育機会確保法」(正式名称:義務教育段階における普通教育機会の確保等に関する法律)は、不登校児童生徒の学ぶ権利を保障し多様な学びの場を整備することを目的とした画期的な法律でした
。この法律により、「無理に登校させるのではなく休養の必要性を認める」「学校外の学び場(フリースクールや夜間中学等)も含め、教育支援を充実させる」といった理念が示され、行政の基本方針にも変化が生まれました。ただし、同法は理念法であり直接的な財政支援や制度整備の義務付けがないため、施行後もしばらくは具体的支援策が各地で十分に進んでいませんでした
。たとえば民間フリースクール自体への補助金創設や、フリースクール利用家庭への支援金制度は国レベルでは整備されず、フリースクールに通う子の出席扱い(学校の出席日数にカウントするか)の問題も依然グレーのままでした
。
フリースクールの出席扱いと進路の課題: 現行制度では、フリースクールは学校教育法上の「学校」には該当しないため、そこで過ごした時間は在籍校の出席日数には算入されません
(在籍校校長の裁量で一部「出席とみなす」措置がとられる場合もありますが一般的ではありません)。このため、不登校の子どもが中学校で定期テストや内申点を得られないまま卒業を迎えるケースが多く、高校受験で大きなハンディを負ってしまいます。東京都の都立高校入試では、中3時の内申点300点+当日試験700点=合計1000点で選考されますが、不登校生は内申点がゼロに近いため試験で満点近く取っても合格はほぼ不可能です
。その結果、東京都内の不登校生の進路は私立高校、定時制高校、通信制高校、あるいは不登校生徒を積極受け入れする都立のチャレンジスクール・エンカレッジスクールに限られるのが現状です
。しかし私立高校でも出席日数が極端に少ないと入学を認めないケースがあるなど
、「学校に行けなかった」ことの影響は高校以降の進学・就職にも及んでいます。この制度的課題に対しては、通信制高校のサポート校(フリースクールが高等部として連携)を利用して学力を補うなどの対策が取られていますが
、根本的にはフリースクールでの学びを公式に認定する仕組みが求められていると言えます。国も「不登校特例校制度」により一部の学校で特別カリキュラムを認可していますが(東京シューレ葛飾中・江戸川小など例あり
)、極めて限定的です。フリースクール業界からは「フリースクール卒業資格」や公的な単位認定制度の検討を求める声も上がっています。
東京都の公的支援策: 国の制度が追いつかない中、東京都は近年独自の支援策を打ち出し始めました。その柱となるのが**「フリースクール等利用者支援事業(助成金)」と「フリースクール等支援事業(補助金)」の2本立てです
。前者はフリースクールに通う不登校状態の小中学生を対象に月額上限2万円の利用料助成を行うもので、2024年度から本格実施されました
(2021~2023年度は実証的に協力金を支給
)。助成対象は都内在住で学校に籍を置く義務教育段階の児童生徒で、私立・国立在籍者も含め約1500人が見込まれています
。この助成金により、経済的理由でフリースクール利用を諦めていた家庭にも選択肢が広がることが期待されています。実際、助成開始後は月2万円の補助で利用者負担が軽減されたことで「通わせるハードルが下がった」という保護者の声も聞かれます
。助成制度の初年度(令和6年2月末時点)までに2,676件の交付決定**がなされており
、想定を上回る応募があったことが示唆されています。
他方、後者の「フリースクール等支援事業」は民間フリースクールそのものへの運営補助制度で、子ども一人ひとりのサポートプラン作成等を要件に年間数百万円規模の補助金を交付するものです
。東京都が実施する研修を受講し、計画策定や都への報告を行うことが条件となりますが、中小のフリースクールには人件費補填など大きな助けになります
。この制度は2024年度に開始され、初年度は48校(団体)が補助対象に選定されました
。都内に200校以上あるフリースクールのうちわずか4分の1程度ですが、選定校は都の公式サイトにリスト公表されるため「都のお墨付き」として保護者の信頼獲得にも資する側面があります
。補助内容は職員人件費の4分の3(常勤1名上限150万円+非常勤1名上限75万円)や、施設の安全対策・体験活動・スタッフ研修費の2分の1補助など多岐にわたり
、平均すると1校あたり年間約500万円の補助が受けられる試算です
。東京都は2024年度予算で50団体分の補助を見込んでおり
、翌年度以降も拡充の方向が示唆されています。
他自治体の動き: フリースクール支援は東京都以外でも徐々に広がりつつあります。例えば鳥取県智頭町ではフリースクールや適応指導教室の利用料を補助する制度を設けており、他の市区町村でも経済的支援を模索する動きがあります
。また、大阪府や神奈川県でも不登校特例校の誘致や、フリースクールと連携した教育支援体制の構築を検討する声が出ています。国レベルでも2023年に文科省が不登校支援策の充実を各教育委員会に通知し、教育支援センター(適応指導教室)の増設やフリースクール等との連携強化を促しています。現在も全国の自治体の37%には教育支援センター(公設のフリースクール)が未整備との指摘があり
、こうした地域格差是正と民間施設への支援が今後の課題です。東京都の先行事例は、国や他地域にとってモデルケースとなっており、今後フリースクールを支援する制度が全国的に整備されていく可能性があります。
①費用負担と公平性の課題: 前述の通りフリースクール利用料は平均3~5万円/月と高額で、これまで利用者は比較的裕福な家庭に偏りがちでした
。そのため経済的理由で利用できない不登校児童生徒も多く、結果として**「不登校支援にも教育格差がある」**状況が課題となっていました。東京都の助成制度開始はこの課題への対応策ですが、全国的に見るとまだ支援が行き届いていない地域も多く、フリースクール利用支援の制度化が求められています。またフリースクール運営側も、経営維持のために利用料を高く設定せざるを得ない事情があり
、公的補助なくして利用料値下げや定員拡大が難しいのが実情です。費用負担の問題はフリースクール業界最大の構造的課題であり、持続可能な財政支援モデルの確立が急務と言えます。
②「出口戦略」の模索: フリースクールに通うことで子どもの安心は確保できますが、その後の進路(高校・大学等)への接続にも配慮が必要です。不登校の子どもがフリースクールで過ごす間、公立中学校の成績や出席記録が残らない問題は先に述べた通りで、高校進学時に大きな壁となります
。このためフリースクール側でも、サポート校として通信制高校の教材で学習支援を行ったり、提携高校に内部進学できるコースを用意するなど「出口」を意識した取り組みが増えています。また東京都のチャレンジスクール(全日制定時制高校)やエンカレッジスクール(中間的な受け皿校)への進学を目指すケースも多く、そうした高校入試対策(作文指導や面接練習等)をフリースクールで行う動きもあります。フリースクールによってスタンスは様々で、「原籍校への復帰」をゴールに掲げるところもあれば
、必ずしも復学にこだわらず**「フリースクールでの学び切り」**を尊重するところもあります。近年はフリースクールに長期間在籍したまま、高卒認定試験や通信制高校経由で大学進学する生徒も出てきており、各フリースクールは子どもの将来を見据えた多様な進路支援を模索しています。
③ICT活用とオンライン化の進展: 2020年のコロナ禍を契機に、フリースクール業界でもオンライン支援のノウハウが飛躍的に発展しました。休校期間中に各地の適応指導教室やフリースクールがリモート対応に取り組み、ICTの有効性を実感したことで、休校終了後もオンラインによる新サービスが生まれています
。例えば島根県雲南市の「おんせんキャンパス」では、教育支援センターの機能強化としてオンラインフリースクールを立ち上げ、AI教材「Qubena」を導入した算数・数学の個別学習を実施しています
。このオンラインプログラムでは遠隔の**「ラーニングコーチ」が生徒一人ひとりの学びに寄り添い、半年で学年履修範囲を終える子も出るなど成果を上げています
。さらに教科学習以外にも、生徒の興味に応じた探究学習や創作活動をオンラインで提供しており、例えばイラスト好きの児童が別室登校と並行して遠隔の講師からデザイン指導を受けるケースもあります
。このように、メタバース空間やゲーム(Minecraftなど)を活用したオンラインフリースクールも登場しつつあり
、リアルの場に出にくい子どもにとって自宅から参加できる貴重な居場所となっています。オンラインならではのメリットとして、人員不足の課題をテクノロジーで補いスタッフを対面支援に専念させる試みも進んでいます
。もっともオンラインのみでは満たせないニーズ(直接会って遊ぶ経験等)もあるため、リアルとオンラインのハイブリッド型支援**が今後主流になるとの見方もあります。ICT活用はフリースクール業界の新たな地平を開いており、EdTech企業との連携やデータに基づく個別最適化学習など、今後も発展が期待されます。
④保護者ニーズと社会の意識変化: フリースクールを取り巻く社会的な見方もこの数年で変化してきました。不登校に対する理解が広がり、学校以外の学びを選ぶことへの偏見が和らいできたことは大きなトレンドです。「不登校は悪いことではなく、その子らしく育つための選択肢の一つ」との捉え方が徐々に浸透し、行政も「学校復帰ありき」ではない支援を掲げるようになりました
。保護者の中には、子どもの自己肯定感や創造性を大事にしたいと考え、最初からフリースクールやホームエデュケーションを検討するケースも出ています。とはいえ進路や経済面の不安から踏み出せない家庭も多く、フリースクール利用への心理的ハードルは依然存在します。「学校以外の居場所があってもいい」というメッセージを社会全体で発信し、保護者が孤立せず相談できる環境づくりが重要です。東京都でも不登校児の保護者向け交流会やセミナー(「保護者のひろば」等)を開催し、悩みを共有できる機会を提供しています
。また近年はメディアでフリースクール出身者の進路成功例が取り上げられたり、有名人が不登校経験を公表するなど、ロールモデルの発信も進んでいます。こうした流れは保護者の不安を和らげ、フリースクールへの理解を深める追い風となっていると言えるでしょう。
⑤多様化するプログラムとニーズ対応: フリースクール側も利用者の多様なニーズに応えるべく、プログラムの多角化を進めています。近年特に目立つトレンドとして、専門分野や興味関心に特化したフリースクールの増加が挙げられます。上記のeスポーツ特化校のほか、プログラミング教室や農業・アウトドア体験を前面に出したスクール、発達障害児向けの療育要素を取り入れたスクールなど、それぞれの子どもの「好き」や特性を活かせる場づくりが活発です
。これは、不登校になる子どもの背景が学業不振や人間関係だけでなく、学校教育へのミスマッチ(自分の興味に合わない)である場合も多いため、フリースクール側で子どもの興味を引き出すコンテンツを用意する必要が高まっているからです。実際「○○があるからフリースクールに行ってみよう」という動機付けは登校刺激として有効で
、特定の活動(アニメ制作や楽器演奏、ペット世話など)がきっかけで外出できるようになったケースもあります。今後も子どもたちのニーズの変化に合わせて、フリースクールのプログラムはより個別化・多様化していくでしょう。
⑥行政との連携強化: 最後に、業界全体のトレンドとして行政との協働が進んでいる点も重要です。東京都の調査研究事業のように、フリースクールに通う子ども・保護者のニーズ把握や効果検証が行われ
、その結果が政策(助成事業化)に反映されました
。これはフリースクール側から見れば、自らの活動が公的に認知・評価される機会が増えたことを意味します。一方で公的支援を受けるには一定の報告義務や基準遵守が求められるため、フリースクール運営の専門性・質の向上も求められています。東京都が補助金交付校を選定する過程でも、適切な支援計画を作成できるかなど組織力が問われました
。業界団体やネットワークも発足しており(例:東京都フリースクール等ネットワーク等)、情報交換や研修を通じた質の底上げが図られています
。フリースクール業界はこれまでボランタリーな色彩が強かったものの、公教育を補完する**「社会的インフラ」**として位置づけられつつある現在、質的担保と柔軟性の両立が問われています。今後は認証制度の創設や第三者評価の仕組み導入なども議論される可能性があり、フリースクールが持つ多様性を損なわずに信頼性を高めていくことが業界の課題となっています。
参考資料・出典:
東京都教育委員会 「令和5年度フリースクール等に通う不登校児童・生徒支援調査研究事業報告(途中経過)」(2024年2月)
ほか
東京都生活文化スポーツ局 「フリースクール等利用者支援事業・フリースクール等支援事業」事業概要ページ(2024年)
ほか
東洋経済education×ICT「不登校が過去最多、自治体「フリースクール利用者支援」…」(2024年3月)
ほか
滝野川高等学院ブログ「フリースクール、進化のとき(東京都フリースクール等支援事業が始まっての所感)」(2025年3月)
滝野川高等学院 機関誌『居場所研究』「フリースクールの抱える課題と教育機会確保法」(2021年)
ほか
sabusuta教育コラム「東京のフリースクールおすすめ12選!」(2025年3月)
ほか
認定NPO法人カタリバ記事「コロナ禍から生まれた『オンラインフリースクール』の可能性」(2021年4月)
ほか