❒まじめで傲慢な経済学者
つい主流派経済学者を漫画に出てくるかませ犬の分析系メガネ君などと言って
しまいましたが、彼らは社会をよく為に頑張ってもいるわけです。
世の中の経済は単純な計算式におさまらない、だからまじめに社会のあらゆる要素を
真摯に一つ一つを分析し数式モデルにしていく。
その行為自体は当然ディスられるものではなく、むしろリクペクトすべきものです。
ただ極めて合理的に秩序立てて動き、思考を持たない分子の集合であっても、
予測するのは非常に難しい。1年後の天気予報が出来ないのはその為です。
その天気一つにさえ思考や行動に影響を与える人々の経済活動が、
今の技術で計算できると考えるのは傲慢と言わざるをえません。
もし計算が出来るとしたら、その理論を使えばあらゆる事業を成功できるどころか
そもそも金融取引で世界の全ての富を牛耳ることが出来るでしょう。
(量子コンピューターが生まれればあるいは可能なのかもしれませんが)
❒どこからともなく湧いてくるシニカルなおっさん
主流派系学者がMMT(現代貨幣理論)を巡って論争している中で、
『どっちもどっちなんだよね~』とかいうしたり顔のおっさんがでてきます。
仕事出来る系のエコノミスト、アナリスト、ステラテジストなどに多いです。
この手のおっさんの98%は、MMTを理解していません。
・貨幣とは何なのか
・MMTが何を示しているのか
を決定的に理解できておりません。
読むに堪えないコラムを読めばわかります。
国債と日本銀行券がまるで違うものかのように思っているのでしょうか。
MMTはバランスシートの視点から貨幣とは何かを明らかにし、
政府の財政/金融コントロールの効力や徴税の存在意義を示し、
最も重要なことは供給能力の向上だと説きます。
どこの誰も『無限に財政出動して経済成長!』などと言ってませんし、
『貨幣に対するまるで新しい説が人類を救う!』などとも言っていません。
MMTがそうだと言っている人がいるならその人もMMTを理解していません。
というより、MMTを利用して自身の政策を有利に進めたいリベラルなんかも
いるのでしょう。だから余計に反発を生んでいるのかも。
MMTはただの事実的現象の説明であり、政策論ではありません。
ただその事実が従来の貨幣感を根底から覆したために理解出来ない人が多いのです。
❒理解するには脳の訓練が必要
人間は到底受け入れない現実を目の当たりにすると、脳が拒絶します。
これは物理学の世界でもよくあることです。アインシュタインはノーベル物理学賞を
受賞していますが、授賞した理由はかの有名な相対性理論ではなく光量子仮説です。
今では当たり前のように古典物理学のベースとなっている相対性理論ですが、
当時のノーベル賞選考委員でさえ、当時相対性理論を受け入れるのは難しかったようです。
物理学ほど『事実は小説よりも奇なり』な学問はありません。
脳では理解できない現象を、理論上認めざる得ない状況に何度も追い込まれます。
そうして脳が訓練されていく内に、おぼろげながら理解できるようになっていきます。
いや、従来の理論が新たに覆ることもあるだろ と思われるかもしれませんが、
正確には『覆っているのではなく、より精密に説明出来るようになった』です。
もちろんそれでいいのです。そういった過去の偉人達の考察や実験の積み重ねの上に
最新理論が更新されていくわけです。
現代の情報に触れ、相対性理論が不完全だ!などという人もいますが、
これはフロギストン説にマウントをとるくらい愚かな行為です。
(そもそも全く理解していないパターンもあるのでしんどいですが)
MMTがそれほどの理解力を要する理論だとは思いませんが、
世に浸透していくにはまだまだ時間がかかりそうです。
世界中の優秀な頭脳が、恣意的にコントロールされる俗世の経済学にさほど
興味を持っていないことが、人類の悲劇なのかもしれません。
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