天動する経済学

虚構の経済学から実態の経済学へ

なぜ経済学者がMMT(現代貨幣理論)に反対するのか①

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❒MMTが指摘したこと

 

世界一の“野球”研究機関があるとする。その研究機関は野球について、

チームワーク、センス、肉体構造、戦略、育成など最新の科学で分析し

理論的に研究してきた、多額の資金が投じられた200年の歴史を持つ機関だ。

 

そこにある日、一人の小さな女の子がきて、おじちゃんたち間違ってるよ と

指摘したらどうなるでしょうか。

『はいはい、おじちゃん達忙しいからあっちいっててね』 か

『どこがおかしいのかな?言ってごらん』 あるいは

『どっからきたんだ!すぐに追い出せ!』 となるでしょう。

 

だけど今度は『そのボールって野球じゃなくてテニスボールだよ』と指摘されたら

どうだろうか。おそらく全員が面くらうでしょう。

しかしこれは極めて重要ではあるが本質的な問題ではないのです。

 

彼らは反発しつつも議論を重ね、ボールの重量や硬さを変えた訂正理論を構築する。

そして新たな新理論に満足するでしょう。

そうしたことを積み重ねていった結果、超難解で複雑な数式の理論が生まれていく。

 

ところがMMTは、『それ野球じゃなくて料理だよ』と突っ込んだのです。

それはもはやスポーツですらなく、彼らが生涯を掛けて研究し、

世界中の政治家や投資家がそれに従い、地位と名声と栄光を得てきた

成果の全てを根底から覆すものだったのです。

世界的権威をもった著名な学者であっても、大資産家のカリスマ経営者であっても

そんなことは何があったとしても認めるわけにはいかない。

 

この天地をひっくり返すような社会現象が、

MMTが地動説であり現在経済学が天動説であると指摘されている所以です。

 

❒主流派経済学者はかませ犬

 

さきほどの女の子の指摘が直感的に正しいものだったとしても、

野球研究の権威はこのような数式が数十枚書かれた紙を見せる。

 

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そしてこう言うでしょう。

『あのね、これがこうなってるからこうなるんだよ?わかる?

 わからないの?じゃあ黙っててくれるかな?』

 

なぜここまで経済学が複雑な数式になるのか(本当に数十ページあります)

それには理由があるがここでは割愛します。

 

ちなみに宇宙の全てを表す方程式が以下です。

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余談: 宇宙方程式もまだ現代物理学では不完全である。これを完全にするために

    映画インターステラーの主人公は、自らブラックホールに飛び込み、

    その謎の核心を最愛の娘に時空を超えて伝えたのだ。(感涙)

 

宇宙の全てを表す方程式をはるかに上回る難解な経済学の数式は、

“現状を正確に表し、未来を予測する経済” を全く果たすことが出来なかった代わりに

“小さな女の子にマウントを取り黙らせる” ことに貢献している。

 

実際には小さな女の子だけにおさまらず、ノーベル経済学受賞者であるニュー

ケインジアンのポール・クルーグマンに対してさえこの論調は目立っています。

 

実は悲しいかな、私はこの気持ちを少し理解することができます。

科学的な見地、理論、アプローチを一切無視して感情、発想、勢いだけで

専門家が批判されるとすれば『何にも知らないくせに!!』と言うのは自然です。

一般サラリーマンの私でさえ日常的な出来事にそう思うのだから、

200年の歴史を持つ経済学者達にとってその想いは想像のはるか上をいくでしょう。

 

それに、数学(数式)こそが宇宙の真理であり、例えこの宇宙の支配者であっても

その解釈を曲げることは出来ない。そのことも紛れもない事実です。

 

ただし数式自体に罪はなくとも、現象を示す仮説とそれに引き当てる数式が

正しいかどうかはまた別の話なのです。

 

そこを勘違いすると『僕の計算が正しければ負ける可能性は0.2%ですね』メガネクイッ

とかいって、漫画の敵キャラとして登場し、すぐに退場する噛ませ犬が誕生します。

その理論と計算が仮に、漫画の主人公の熱意、成長速度、生い立ち、

師匠から受け継いだ必殺技、仲間との絆など全てを網羅していたとしても、

漫画の作者の中でストーリーが決まっている、つまり真実とは違っている

場合はどうすることも出来ないのです。

 

続く

 

なぜ経済学者がMMT(現代貨幣理論)に反対するのか② - 天動説の経済学