天動する経済学

虚構の経済学から実態の経済学へ

突っ込みどころ満載の経済学① -無限に高くなるコスト-

f:id:sun1200:20200527122722j:plain

 

中小企業診断士の経済学・経済政策を勉強中のサンです。

経済学に突っ込みどころが多すぎたので突っ込んでいきます。

 

❐総費用曲線が3次関数になる

 

これは簡単にいうと、『原価(単価)って数量が増えるほど高くなるよね』

ってことなんですが、いやいやちょっと待て。イキナリ何事かと。

普通の感覚でいくと数量が増えるほど原価(単価)は下がります。

 

もしあなたが企業の購買部だったら、調達先にこう言いますよね?

たくさん買うんだから、もう少し安くしてよ 

間違っても、たくさん買うから値上げしてもいいよ とは言わないですよね?

 

しかしミクロ経済学の一般的な総費用曲線は逆S字型になると説明されます。

なぜそうなるかはサラっとだけ一応解説されています。

 

最初の方は、モノを作るのも下手でコスト(単価)もかかっちゃうけどだんだん上手く

作れるようになるからコストは下がっていく(これはわかる)、でも一定以上の

生産量を超すと、作る人が増えてもコストがかかるばかりで生産量が上がりにくく

なるよね。と… 一見正しそうに見えますか?

例えるならラーメン屋に店員が100人いるようなものです。もしそうなら

確かにラーメン一杯あたりのコストはどんどん高くなりそうです。

 

でも現実にはそんなことはありません。ラーメンをたくさん作りたいなら

人手も増やすかもしれませんが、設備を新調しますし、別の店舗を設けます。

大手ラーメンチェーン店であれば材料の集中購買したり長期契約を結んだりして、

個人店舗より大量に安く仕入れているでしょう。

 

 

なにはともあれともかく3次関数(逆S字型曲線)になるんだ!

あまり深く考えないで… という感じで話が進んでいきます。

 

❒高くなっていくコストで生産量や価格も決定出来る

 

仮にモノを作るほどコストが上がっていくとした場合、

あまり作りすぎるとコストが上がって儲けが減るわけですから、

一番利益が取れる‘ほどよい生産量’が決まってきます。

 

そうすると、実に単純な数式モデルになります。

なぜなら、生産量も価格もコストに従って必然的に決めることが出来るからです。

でも実際のビジネスにおいて、生産量や価格を決める要素は他に何でしょうか?

 

例えば『価値』『需要』があります。価値が無ければ1円でも売れませんし

1億個作れたとしてもしても100個しか需要が無ければ100個までしか売れません。

 

でも、目に見えない価値や、変動する需要、調達するほど安くなる材料費、

などを考慮した場合、数式はとんでもなく複雑になっていきます。

完全競争市場とか自社の行動が市場に与える影響はゼロだとか、物事を

単純モデル化するのはまぁいいとして、それ以前に仮定に無理がありすぎるのです。

 

しかも製造物なら1万歩譲ってなんとか理解できたとして、

ソフトウェアではますます当てはまらなくなります。

変動費がゼロに近いソフトウェアやデータを販売すればするほど

指数的にコストが上がるなんてことは絶対にあり得ません。

 

古典経済学にソフトウェアについても考えとけよというのは少しかわいそうですが、

そもそもの仮定がむちゃくちゃなので、それ以前の問題です。

 

今後、人類の価値はますます『モノ』から『体験』に変わっていくでしょう。

ソフトウェアのようなコスト逓減産業はますます増えていくということです。

さすがにそろそろ経済学も生まれ変わらなくてはいけません。

 

現行の経済学は、かなりおかしな世界を想定しています。

間違いだけならまだしも、この嘘にまみれた数式が後々に

とんでもない結論を生み出していくことになるのです… 

 

 ❒総費用曲線のグラフ

①無限に上がるコスト

f:id:sun1200:20200521171053j:plain

 ②そうすると価格や生産量が簡単に決められる

f:id:sun1200:20200521171113j:plain

 

③現実は大体こう

 

f:id:sun1200:20200521171122j:plain

 

❒考察1

 

つまり生産量はコストによって決まるのではなく、別の要因によって決まる。

 別の要因とはおそらく『需要』である。

なぜそのようなモデルにしなかったのか?深読みすると、

・生産量や価格が決められる簡単なモデルにしてドヤ顔したかった

・『需要』で生産量が決まることを意図的に隠していた